就労定着支援とは、2018年4月に創設された改正障害者総合支援法に基づくサービスです。
一般就労をしている障がいや疾病のある方が長く職場に定着できるよう、サービスを提供する事業所がさまざまなサポートを一定期間(最大3年)行います。
離職率51%は改善できる
一般労働者1年後の離職率は平均で約15%程度と言われていますが、障がいのある人の離職率はどうでしょうか。
障がい全体の1年後の離職率は平均で約38%、更に精神の障がいについては51%と非常に高くなっています。その高い離職率の問題解決のための施策として生まれたのがこの定着支援サービスなのです。
主な支援内容としては、定期的かつ継続的なご本人との相談と職場環境等の調整です。
職場でのストレスは誰しも避けられません。ポイントは、ストレス耐性が低い傾向のある人に対してはストレスの小さなうちに問題を一緒に解決すること。もともと精神障がいのある方は仕事の知識やスキルなど働く力をもっている方は多く、ポイントを押さえた支援があれば離職リスクを大幅に減らしていくことが可能です。
国は事業所に対し、就職1年後の定着率の目標値を80%と高く設定しています。それが実現すれば一般労働者の離職率と変わらない水準になります。
ちなみに私たちの運営する定着支援サービスの定着率は90%です(過去3年間実績)。
定着支援はキャリアの支援
さて、私たちは2019年8月から定着支援サービスを始めましたが、そこで気づいたことがありました。それは転職ニーズの高さです。特に一昨年には私たちの移行支援から就職された方4名の転職支援をさせていただきました。理由はキャリアアップ、他業種への切り替え等など様々。最初は転職希望とお聞きし少し驚きましたが、よくよく考えれば当たり前のこと。今は転職は珍しくありませんし、人生100年時代と言われる中、仕事も含め生活でも結婚や育児、自身の加齢、家族の病気や介護、等々…キャリアのさまざま節目はだれにも訪れます。ですから定着支援とは、一つの職場に長く定着できる支援だけでなく、人によっては転職もふくめ豊かに仕事を続けていけるための支援なのだと気づきました。
『私も転職したいです!!』
さて、私たちの事業所では就労移行支援を卒業して就職した方のOB会を毎月1回行っています。仕事を終えた皆さんが三々五々集まられ、自由にそれぞれ会話を楽しむ場所となっています。 そこには先の転職された方々も参加されています。
最近よく『私も2,3年後には〇〇の仕事への転職にチャレンジしたいです』という類のお話を他のOBの方から聞く機会が増えました。おそらく、いろいろな方との会話の中で「自分にもいろいろなキャリアの可能性や道があるんだ!」とイメージが生まれた、ある種の気づきがあったのだと思います。
そしてその時の皆さんは、とてもいい表情をされているように感じます。
理事長 坂口伊久磨
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